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    モッサン

    Author:モッサン
    タイトルは夏目漱石『草枕』の一節。ここは、本業である研究以外の日頃の活動、出会った人々、読んだ本、見た映画などなどをご紹介するブログです。

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2008/07/27(Sun)

最近の読書生活とアトランティス慕情!

 今月は、忙しい日々が続き、私の読書生活は休息期に入っている。仕事で使う資料や地図以外に読むものといえば、最近はもっぱらマンガである。

 今月に入って読んだマンガを挙げてみる。
  かわぐちかいじ『太陽の黙示録 建国編』(第1巻)
  幸村誠『ヴィンラント・サガ』(第6巻)
  浦沢直樹・手塚治虫・長崎尚志『PLUTO』(第6巻)
  弘兼憲史『新装版 課長 島耕作』(第1〜6巻)
  魚戸おさむ(画)・東周斎雅楽(原作)『イリヤッド 入矢堂見聞録』(全15巻)

 さて、先月の終わり頃から少しずつ読み進めてきた『イリヤッド 入矢堂見聞録』が、ようやく読み終わった。ふー。



 ホメロスの『イリアス』をもじったようなマンガタイトルで、主人公は入矢修造。考古学会を追われ、文京区団子坂で「入矢堂」という古道具屋を営んでいる。そんな彼が、ひょんなことから伝説の古代文明アトランティスの探索に挑んでいくというのが、このマンガのストーリーである。

 ご承知の方も多いと思うが、アトランティスは紀元前9000年頃にゼウスの怒りを買い、島ごと滅ぼされたとされる謎の文明である。未だにその場所も分からないし、存在すら確認されていない。

 主人公の入矢が、プラトンの『ティマイオス』や『クリティアス』、マルコ・ポーロの『東方見聞録』、さらには「記紀」などなど、様々な歴史資料を手がかりに、アトランティスのかつてあった場所を求め、ヨーロッパや北アフリカ、南米、中国など、世界を飛び回る。

 浦沢直樹の『MASTERキートン』以来、こうした考古学ものは、最も好きなマンガジャンルである。物語の登場人物とともに、世界の美しい遺跡を堪能することができるし、シュリーマンに例えるのもおこがましいが、私にも多少の「古代への情熱」はあるようで、人類とは何者であるのかという、考古学や歴史学の根本的な問題がとても魅力的だからである。

 アトランティスの存在も含め、『イリヤッド』の物語は、いくつかの仮説から成り立っている。絶滅した旧人ネアンデルタール人と現生人類クロマニョン人との異文化交流説、宗教のネアンデルタール人起源説、クロマニョン人≒アトランティス人説などなど。
 これらが、どの程度信憑性があるのかは、専門家ではない私には当然分からないが、アトランティスという歴史上の謎を、人類の進化の軌跡というもう一つの大きな謎と結びつけたところに、大いに好奇心をかき立てられた。

 また、若干直截的ではあったが、泣かせる場面も多く、ヒューマンストーリーとしても中々面白かった。

 もう一つ付け加えるならば、作中、登場する世界の様々な料理には、思わずヨダレがこぼれそうになった。別冊で世界の料理の特集巻を作ったら、案外売れるのではなかろうか。

 さて、結局、アトランティスの謎が解き明かされないまま、物語は終わってしまうが、大いに空想と好奇心をかき立てられる良いマンガであった。

 それにしても、かつて伝説の都市国家といわれたトロヤが、シュリーマンの発掘により存在を確認されたように、アトランティスの謎も解き明かされる日が来るのだろうか。考えただけで、わくわくどきどきしてくるな〜。


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2008/07/22(Tue)

「目がキンになる」『黄金の国ジパングとエル・ドラード展』

 昨日は海の日。

 久々に休日をとることができた(1ヶ月ぶり!!)。

 さて、この休みを利用し、一人国立科学博物館で開かれている『金GOLD 黄金の国ジパングとエルドラード展』を見てきた。




 海の日というだけあって、会場は人だらけである。それに、夏休みに入ったためか、小中学生が多い。会場では、クイズラリーが行われており、子供たちが会場の中のヒントを探して、あちこち見て回る姿が微笑ましかった(^_^)。

 さてさて、会場は日本の金文化を紹介する前半部と、コロンビアの金文化を紹介する後半部に分けられる。

 持ち上げることができる金の延べ棒や、秀吉の黄金の茶室、黄金のウェディングドレスなど、見所は満載だったが、個人的に面白かったのは、日本ブースで紹介されている金箔加工と、コロンビアブースで展示されている古代文化の金細工群。

 特に、金箔の製作は、一見すると簡単そうに見える。ただハンマーで叩きながら、薄く延ばしていくだけなので。だが、よく考えると、金箔は薄くなればなるほど、切れやすくなるはず。また、叩く箇所が偏れば、金箔の厚みにもその影響が出るだろう。叩きつつ途中で金箔が切れないよう、叩く箇所が偏らないようにするのは、さぞ難しかろう。まさに、職人のなせる技である。
 
 コロンビア古代文化の金細工は、見事な精巧さとデザイン。良い仕事しているなー。これが2000年前のものかと驚くばかりであった。

 ところで、『東方見聞録』を読んだことはないが、自分は、この本に書かれている日本=「黄金の国」というのが、当時のモンゴルや中国で伝えられていた単なる伝説だと思い込んでいた。

 しかし、今回の展示を見ると、日本がかつて「黄金の国」であったことがよく分かる。今でこそ日本の金の産出量は、世界全体の0.9%しかないものの、江戸時代には、佐渡島だけで世界全体の5%の金を産出していたそうである。

 展示されていた黄金の茶室をはじめとして、日本で中尊寺金色堂や金閣など、金を使った建築物がたびたび建てられてきたのは、その時々の為政者が自らの権威を示すためだったとは思うが、それが可能であったのは、やはり産金量の豊富だったからであろう。いやー、勉強になるなー。

 最後に土産物ショップへ立ち寄り、お土産を購入。思い切って、金の延べ棒!! いやいや金の延べ棒箱に入ったマンゴーチョコクランチを買った。




 それにしても、昨日は良い休日となった。

 毎年忙しい7月も、間もなく終わる。もう一踏ん張りだ。



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2008/07/14(Mon)

山里の景色がとてもきれいだ『西の魔女が死んだ』

 昨日は、一昨日に引き続き、朝から昼過ぎまで某学会の手伝い。学会が終わった後、千葉へ移動し、夕方から塾の仕事である。病み上がりの自分には、ハードな2日間だった。

 そういえば、ここ最近、先週水曜日に病欠した日を除けば、まともな休日を全く取っていない。最後に取った休日は、いつだろうと調べてみると・・・、6月22日。『奇跡のシンフォニー』を観に行った日である。気づかなかった・・・。

 こんなに働いているんだから、朝から映画を見に行っても、ばちはあたるまいと、今日は出勤途中、西千葉駅で途中下車。京成ローザに立ち寄り、『西の魔女が死んだ』を見て来た。

 こないだ原作を読んだばかりの小説『西の魔女が死んだ』の映画版。原作を読んだ時、この情景描写に優れた文章を映像化すると、一体どうなるのだろうか?という興味が湧いたのである。

 詳しい感想は、映画ブログの方で述べるが、霧にかすむ山々、森の鮮やかな緑など、美しい映像は原作に忠実。とても癒された。

 主人公まいの祖母役を務めていたのは、サチ・パーカー。聞いたことのない女優さんである。日本語が上手くきれいな人なので、何者なのだろうとウィキペディアを使って調べてみたところ、思わず納得である。
 母親がなんとシャーリー・マクレーンだった。親日家の女優として知られる人だ。「サチコ・パーカー」という本名は、母の親友小森のおばちゃまによって名づけられたそうである。

 原作も良かったが、映画もなかなかである。最後の場面は、やはりほろりとさせられた。



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2008/07/13(Sun)

疲れも吹き飛ぶ癒しの歌『once ダブリンの街角で』を見ました!

 昨日土曜日は、丸1日学会の手伝いの仕事だった。

 仕事の後、スタッフの皆と軽く食事をし帰宅。自宅に到着した時には23時をまわっていた。

 今日も朝から学会の手伝いがあるのだが、心の栄養をとろうと、映画を見ることにした。先週購入したDVD『once ダブリンの街角で』を鑑賞。

 1時間半ほどの短い映画である。作品の中で流れる歌とその歌詞に、思わず心揺さぶられる。良い映画であった(詳細は映画ブログまで)。朝6時起きだから、寝不足にはなるが、これで今日もがんばれるだろう。


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2008/07/13(Sun)

3日間の闘病記・10数年振りの病院

 久しぶりに、日記を更新。

 月曜から体調がどうもおかしいと思っていたら、水曜日についにダウンした。体調を崩した今週前半部分の記録をまとめておく。

 7月7日(月)。この日は寝坊に始まる。起きたら「笑っていいとも」がやっていた(゜o゜)。こんな時は開き直るしかない\(゜▽゜)/。気付くと、頭にズキンズキンという鈍い痛みがある(>_<)。頭痛だ。最近、頭痛の頻度が多い。そして異様なだるさ。疲れてるんだろうかと訝しながらも、「ごきげんよう」を横目に出勤。


 7月8日(火)。研究所勤務の日である。寝坊をせず6時に起床。頭痛とだるさがひどくなっている(>_<)。でも、このぐらいなら、まだ何とかなるだろう。出勤。

 研究所に到着したのは8時50分。研修講師の仕事で勤務できなかった先週分も働かなければならず、この日は21時までの勤務。長ーい一日である。

 前にも書いたが、毎週火曜に勤務する研究所には、ソファーが置いてある。自分はクッションを持ち込み、寝不足が続く最近は、ここでよく仮眠をとる。

 この日も昼食をとった後、いつものように睡魔に襲われる。20分程仮眠を取ることにした。・・・・・・目覚めると外が暗い。あれっ(?_?)と思い時計を見ると、何と20時を過ぎているw(゜o゜)w。熟睡してしまったのだ。

 そして激しい頭痛。それに酷く寒い。とりあえず常備している手持ちの頭痛薬を飲み、21時まで勤務。家路についた。23時頃、無事帰宅。体が重い。激しい睡魔に耐え切れない。25時就寝。


 そして7月9日(水)。6時に起床。ものすごい汗。激しい頭痛。頭がくらくらする。頭痛に耐えられない。嘔吐。出発まで、まだ余裕がある。とりあえず頭痛薬を飲み、もう一度寝ることにした。

 7時に再度起床。頭痛は引いている。これなら何とかなるかと思ったが、クラクラ感は収まらない。ここで、控えていた体温を測ることにした。熱があると分かった途端、気持ちが折れそうになるので、普段から多少体調が悪いぐらいなら、出来るだけ体温を測らないようにしているのだ。

 ピピッという音とともに、体温計を脇の下から取り出すと、38度ちょうど。自分の平熱は35度6分なので、かなり高い体温。風邪か?

 出勤するかどうか迷ったが、まずは病院へ行くことにした。実は私、コンタクトを作るために眼科へ行ったのを除けば、かれこれ10年以上病院へ行っていない。最後に病院へ行ったのは、高校2年生の時である。この時は、余り大きな声では言えない理由で、救急病院へ行ったのだった。以来、偏頭痛があるのと、時折軽い風邪をひくのを除けば、基本的に健康な十数年を送って来たわけである。

 さて、そんな訳で久しぶりの病院である。まず困ったのは、内科の病院がどこにあるのか知らないということである。現在の家に引っ越して、ようやく10年ぐらい。繰り返しになるが、この間、病院に行っていないのである。

 ネットで調べると、いくつか候補が上がる。しかし、どこが良いのか分からない。結局、実家に帰省している父親に電話し、お勧めの病院を教えてもらった。

 健康な人ほど、いざ病気にかかった時に大病にかかると聞いたことがあるが、なるほど、健康な人は病院についての知識がないという不便もあるようだ。

 父親に紹介された病院に電話し、午後一番の診察予約を入れした。予約した時刻まで、だいぶ時間があるので、もう一眠り。

 そして12時となった。予約した病院は、自宅から見て駅の向こう側。駅から歩いて5分程のところにある。状況が状況なので、タクシーを使うことにした。

 病院へたどり着くと、ドキドキしてきた。体調のせいではなく、久しぶりの病院で緊張しているのだ。受け付けへ行き、待ち合い室で時間が来るのを待とうしたところ、すぐ診察して頂けるとのこと。驚いたことに、先生が若い!!。私と同い年ぐらいであろう。医者は皆おじ様・おば様という印象を持っていたのだがなー。あっ、そういや、自分ももうおじさんだった(笑)。

 大学に入ったばかりの頃、夏の高校野球で、自分より年上のお兄さんだと思っていた高校球児たちが、いつの間にか年下になっていることに気付いた時と、似た感覚である。
 
 さて、診察してもらったところ、完全な夏風邪であるとのことだった。診察前に体温を測ったところ38度5分。早く治したいと話したところ、お食事中の方大変申し訳ありません。何と、これまたひさしぶりに座薬を使うことに。

 大の大人が座薬を使っている姿を想像するのは、大変おぞましい。が、背に腹は変えられない。思い切ってやってもらった。小学生以来である。そして点滴1本を打ってもらう。

 この日は、仕事を休むことにし、病院からそのまま帰宅。

 座薬と点滴の力は、抜群である。その日の晩には、体温がだいぶ下がり、37度5分。翌日の朝は36度7分まで下がっていた。

 
 今週前半は、このような3日間であった。健康って大事だなーと、つくづく思う。と同時に、病院の薬の効果を痛感。普段、ちょっとした風邪をひいたときは、薬局で買えるような市販の薬を使い、だらだらと1週間ぐらいかけて風邪を治す、というのが自分の風邪の治し方だった。だが、今回は、病院に行った翌々日には、ほぼ完治。病院は避けるべきものではない。そう思う。
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2008/07/08(Tue)

先週って何してたっけ?

 気づいたら、先週の日記が読書と映画鑑賞で終わっていた。記憶のあるうちに、先週の出来事を記録しておこう。

6月30日(月)
 元職場への出勤。この日は先日の日記に書いている通り、この日で退職した父親と酒を飲んだ。『クライマーズ・ハイ』読了。

7月1日(火)
 出張。ある自治体の研修に、講師として参加してきた。

7月2日(水)
 元職場への出勤。リリさんに怪しげな付箋を頂いた。何じゃこりゃーΣ(゚д゚;) (松田勇作風)。目、目、目、目、目。目が5つである(↓こんなんです)。ジブリの森美術館でやっている「プチ・ルーブル」のお土産だそうだ。面白すぎて使えない。リリさんありがとうございました。 




7月3日(木)
 元職場への出勤。夕方から大学院の授業。『西の魔女が死んだ』読了。

7月4日(金)
 元職場への出勤。昼から、ニッシー、カズ、ワカさんとともに都内某区役所へ出張。この日は暑かった。出張からの帰り道に通り過ぎたビアレストランに、どれほど後ろ髪惹かれたことか。帰宅後『オズの魔法使い』を鑑賞。

7月5日(土)
 元職場への出勤。研究会に参加。帰宅途中、アキバで買い物。DVD『イル・ポスティーノ』、『ONCE ダブリンの街角で』、『潜水服は蝶の夢を見る』を購入。帰宅後『潜水服は蝶の夢を見る』を鑑賞。

7月6日(日)
 塾に出勤。テストの終わった解放感からか、若干騒がしい。久しぶりに怒ってしまった。いつもながら、怒った後の後悔感にさいなまれる||(-_-;)||||||。
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2008/07/06(Sun)

美しき想像の世界!『潜水服は蝶の夢を見る』

 今年2月に公開されたとき、見に行こうと思いつつ見損ねていた『潜水服は蝶の夢を見る』のDVDが、7月4日に発売された。

 昨日、仕事の帰りに秋葉原に立ち寄り、早速購入し帰宅後鑑賞した。

 この映画は、脳梗塞に倒れ、「閉じ込め症候群(ロックトイン・シンドローム)」となった、ファッション誌『ELLE』の編集長ジャン=ドミニクの自伝を原作とする作品である。

 ちなみに、「閉じ込め症候群」というのは、意識ははっきりとしているのに、動眼神経を除く全身が麻痺し、動かすことができない状態をいう。

 ジャン=ドミニクは、唯一のコミュニケーションの手段である瞬きによって、この映画の原作を著したのである。

 また、ジャンは言っている。自分に動かせるものが2つあると。一つはまぶたである。そしてもう一つが想像力である。

 身動きの取れない彼が行き来できる場所は限られているが、想像の力によって、彼は世界中はもちろん、過去の世界へも旅することができる。詳しくは映画ブログの方で書くが、そうしたジャンの想像を表現する映像は、思わず見とれてしまうほど美しかった。これだけでも一見の価値のある作品といえるだろう。




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2008/07/06(Sun)

梨木香歩『西の魔女が死んだ』を読みました!

 梨木香歩の『西の魔女が死んだ』を読んだ。

 中学生の主人公まいは、学校に行くのをやめた。いわゆる登校拒否である。

 登校拒否をしている間、まいは祖母の家で過ごす。

 イギリスから英語教師として来日し、日本人と結婚した祖母。そして祖母は、魔女であるという。

 まいは、魔女修業として祖母の手伝いをしながら、毎日を過ごす。祖母と過ごしながら、成長していくまいの姿を描いた物語である。


 花を見ては美しいと思い、紅茶を飲んではおいしいと喜ぶ、森の中のお気に入りの場所を見つけてはうれしがる、祖母の家での毎日は、まいにとって感動に満ちたものである。

 まいの感動は、余りに素直過ぎるようにも感じたが、惰性でやり過ごしがちな自分の日常生活を振り返ると、こうした素朴な感動は、むしろ見習うべきものといえるか((^┰^))ゞ。

 ストーリーの単純さや、物語全体を通じて受ける爽やかな印象とは裏腹に、物語のテーマは、「死」という重いものである。この作品で貫かれている死生観は、次のようなまいと祖母とのやりとりの中に示されている。

 ある日、一緒に寝ていた祖母に、まいは尋ねる。
 「人は死んだらどうなるの」。 
 
 祖母は答える。
 「死ぬということは、ずっと身体に縛られていた魂が、身体から離れて自由になることだと、おばあちゃんは思っています」。

 という、キリスト教的な死生観が、この作品ではとられている。

 こうした死生観を、決して否定するつもりはないが、キリスト教になじみのない日本人がこの答えに納得するには、答えの出し方があっさりとし過ぎており、説明が不足しているという印象を受けた
(・_・?)。

 ただ、そのことで、物語全体の面白さが損なわれるわけではない。

 特にラスト。ネタばれになるので、次の言葉だけ抜粋しておく。

 「ニシノマジョ カラ ヒガシノマジョ ヘ
オバアチャン ノ タマシイ、ダッシュツ、ダイセイコウ」

 これには、「うまいなー」と感心すると同時に、素直に感動せざるをえなかった(TmT)。魂の解放という死生観が存在するだけで、この物語は十分面白いのである。



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2008/07/05(Sat)

眠れない夜の♪♪『オズの魔法使い』

 暑い(;´▽`A``。

 生まれも育ちも東北地方の自分は、暑いのが苦手。今朝の新聞を読むと、昨日は今年最初の真夏日だったようである。どうりで、Tシャツを絞れるほど汗をかいたわけだ(;^_^A。着ていたスーツもしわしわしわである。

 さすがに、この暑さはたまらんと、昨夜帰宅後、わが部屋唯一の冷房器具、扇風機を出し、夏を迎え入れる準備を整えた。

 さて、扇風機を出して、さー寝ようとベッドに入ったが、眠れない・・・。えーーい、こうなったら眠らないまでよと、起き出し映画を見ることにした。そして見たのが、ミュージカル映画の古典『オズの魔法使い』(⇒詳細は、映画ブログに書きます(^o^)/)

 公開されたのが1939年。以前見た『スミス都へ行く』の公開と同じ年である。『スミス都へ行く』を見たときにも書いたが、約70年前に作られた映画とは思えない、とても良い作品であった。

 見終えたのが4時過ぎ、外では空が明るみ出し、すずめがチュンチュン鳴き始めた頃である。頭の中で、『オズの魔法使い』の主題歌『虹の彼方に』を「サ〜ム フェー オーバザ レインボ〜」と歌っていると、ようやく睡魔が襲ってきた( ̄ρ ̄)。こうして私も夢の世界に行くことができたのであった。
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2008/07/02(Wed)

横山秀夫『クライマーズ・ハイ』を読みました!

 横山秀夫『クライマーズ・ハイ』を読んだ。

 主人公は悠木和雅。北関東新聞という群馬県にある架空の新聞社に勤めるベテラン記者である。

 2002年秋のある日、悠木は死んだクライマー仲間安西耿一郎の息子である燐太郎とともに、群馬県谷川岳の衝立山の登頂を目指す。17年前、耿一郎と登頂を約束した山である。

 この約束は、17年間、果たされてこなかった。1985年8月12日夜に群馬県で起きた重大事件に悠木が巻き込まれ、また同じ時、耿一郎が脳梗塞で倒れ、植物状態となったからである。その耿一郎も2002年に亡くなり、約束が果たされることは永遠になくなった。

 1985年8月12日に群馬県で起こった重大事件といえば、いうまでもなく日航機墜落事故である。物語は、主人公の悠木が燐太郎とともに衝立山の登頂に挑みつつ、安西が倒れ事故の発生した17年前の8月12日からその後の1週間を回想するという、2つの時系列を軸に展開する。

 と同時に、物語は2つの要素から成り立っている。

 一つは、日航機墜落事故を巡る新聞社内の派閥抗争を描いた、企業小説としての要素である。

 新聞社内の日航機事故の特任デスクを任された悠木は、遺族に対する詳報こそ地元新聞社の役割だと訴えるが、互いに揚げ足取りばかりを狙っている派閥抗争の前では螳螂の斧に等しい。 

 もう一つは、息子である淳との冷ややかな親子関係に苦悩する父親を描いた、家族小説としての要素である。

 派閥抗争や息子との関係を前になす術もない悠木の無力感は、絶望的なほどである。正直、読んでいるこちら側まで息苦しくなる。

 なぜ主人公は、こんなにも報われないのだろうか。思わず作者に不満を述べたくなる。

 話が脇道にそれるようだが、日航機の墜落までの数時間は、以前読んだ山崎豊子の『沈まぬ太陽』で、克明に記されている。

 かつてグライダーをやっていた自分は、『沈まぬ太陽』のその場面を読むたびに、自分の操縦するグライダーが操縦不能になる夢を見たものである。

 『クライマーズ・ハイ』では、墜落までの数時間は詳しく描かれていないが、ある意味正解であったといえる。悠木の絶望感に、墜落を前にした機内の人々の絶望を積み重ねては、重苦しさに耐え切れないように思われるからである。

 だが、こうした重苦しさがあるからこそ、ラストの感動は一際大きかった。

 物語のラストは、衝立登頂の場面である。登頂を諦めかけた悠木に、燐太郎が思わぬ事実を告げる。

「さっきやってみて駄目だったんだ。アブミの最上段まで登ったが届かなかった。一番近いハーケンでも俺には遠すぎるんだ」
「届くはずです。だって―」
燐太郎の声に力がこもった。
「そのハーケン、淳君が打ち込んだんですから」
え・・・・・・?
悠木は上を見上げ、瞬きを止めた。
あっ・・・・・・。
ベタ打ちされたハーケン。錆の浮いたそれらの中で、一番近い場所に打ち込まれたハーケンだけが銀色の鈍い光を発していた(『クライマーズ・ハイ』)。

 ようやく報われたのである。苦労に苦労を積み重ねて、ようやく大きな感動を得る。まるでスポーツのような小説であった。




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